語学力ってなにさ

実務翻訳家の水野麻子さんの著書

「語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ」

は、たくさんの気づきを与えてくれる名著だと思っているので、

これまで何回も読み返してきたんだけど、

「ある人にとっての語学力が、他者にとっても同じ内容を意味するとは、限らない」

と書かれていて、そこが結構すきなんだ。

 

つまり、自分がほしい「語学力」とはなにか、ということ。

英検に受かりたい人は、英検用の語学力。

仏検に受かりたい人は、仏検用の語学力。

これはもう、言語が違うからわかりやすい。

 

で、おなじく英語でも、TOEICの用の語学力はちがう。

同時通訳したい、とか、翻訳家になりたい、というと、それもまた違った「語学力」

が必要になる。

 

千野栄一先生も「外国語上達法」の中で、

目標を持つことの大切さに触れているけど、

「英検に合格するぞ!」

と思ってTOEIC用のテキストをやりはじめたらそりゃ効率が悪いので、

英検用のテキストを買ってこような、ということなんだと思う。

それが一番効率がいいんだよな。

 

じゃあ目標がないのはだめか、というと、

僕はそうは思わなくて、

たぶんそれは僕が志緒野マリさんの「たった3ヶ月で英語の達人!」という本に

すごく影響を受けているからだと思う。

 

この本は、タイトルに反してガチンコの外国語学習論(どっちかっていうとド根性)

の本なんだけど、

スペイン語、英語の通訳ガイドである著者の語学学校体験記、

留学体験記や、英検攻略エピソード、インド留学記など盛りだくさんで、

ぜひおすすめしたい一冊。

 

で、志緒野さんもガチンコの資格取得派(称してキャリアコース)の人なので、

目標を資格試験にさだめてガリガリ勉強していくんだけど、

それとは違う派閥として「ミーハーコース」っていうのを提唱してて、

それが「とにかく楽しむこと」だけを意識してただただ語学と付き合い続ける人々

のことを指している。

そしてそれでも結果的に語学力は向上する、ということを

「毎日洋書を読むけど資格試験は受けたことがない」友人の存在をもとに

書かれている。

 

ぼくはどっちかっていうとそっちのミーハーコースの人間なので、

そんな僕の外国語の目標っていうのは本当に曖昧なんだけど、

それはそれで楽しいよ、という話。

ちなみにミーハーコースの求める「語学力」は

「いまよりもっと外国語を楽しめるだけの外国語力」

ということになるかな。

もっとスラスラ洋書読みたいとか、

お菓子の袋に書かれたフランス語をさらりと理解したいとかさ。